吉田の哲学

舞台の音響・即興音響の吉田的意見をば

     

ども、りんです。


10/10の即興演劇団体「セカンドサークル」の即興音響をピンチヒッターで担当しました。

「セカンドサークル」は私の恩師・忍翔が主宰する即興演劇団体で、1時間以上の長い即興演劇を展開する団体です。毎週月木の夜に、荻窪の小屋にて公演してます。

因みに私、即興音響に関してはそれなりの数を経験してます。

今回はちょっと専門的な話ですが、私なりの「お芝居の中の音響」と「即興音響」についてお話しようかと思います。

(注)ここに書かれている内容はあくまで一個人の意見・考えです。予めご了承ください。

基本的に、芝居の中の音響は前に出すぎてはならない

特に舞台演劇に言えることなのですが、お芝居の中でのBGM・効果音についてそれが主役であってはならないと私は考えています。

あくまで音響というのはストーリー、もしくはキャラクターを後押しするサポート的な立ち位置にいた方がいいです。

やたらとBGMを入れまくる作品をたまにお見受けすることがあります。
そうなると、役者の創り出すお芝居の循環を食ってしまい、お客さんがお芝居に集中しづらくなってしまう恐れがあるのです。

BGMというのは非常に大きな力を持ちます。とにかく音楽というのは主張が強いのです。
・ドリフの曲を突如として入れると地球が崩壊する
・嵐の「Love so sweet」を流したらなんかラブシーンになる
というようなMAD動画があるぐらいに、BGMを入れるだけで役者の演技に関わらずお芝居の雰囲気を決定づけてしまうのです。


去年大ヒットしたQueenの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」。
ロックバンドの映画であり、劇中にたくさんのQueenの曲が流れていましたが、物語が大きく動く重要なシーンにはBGMを挿入していないことが多いです。役者の演技だけでシーンを構成しております。それはあくまで「キャラクターの行動が物語を創っていく」という見せ方にするためにキャラクターにフォーカスを当てて、余分なものを削いだ結果でしょう(Queenの曲の映画ではなく、Queenというロックバンドの話ですから)。

食べ物で例を挙げると、さんまの塩焼きに大根おろしとポン酢をかけても、主役はさんまであるべきなのです。さんまの味を引き立てるためのポン酢であり、大根おろしなのです。

有名なアニメ作品・映画作品でも、「ここにこのBGMは情緒がないな」と感じてしまう作品はあります。

なので、BGMを挿入するというのは、大局を見てピンポイントで入れることがコツなのです。余計なところでBGMは入れない方が良い場合が多いです。

即興音響とはディレクションの一種

さてその中で即興音響というのは、非常に繊細にお芝居の流れを読み取り、なおかつアシストすることが肝になります。

即興演劇において、即興で演出をつける「ディレクター」と呼ばれるポジションが存在しますが、私は即興音響というのは「ディレクター」の一種であると思っています。

ディレクターが出すディレクションとはシーンをより興味深くするために、演者に指示を出します。即興音響もそれに近い役割を有するのです。

なので、シーンを盛り上げようとBGMをポンポン入れまくるのは違うと思っています。
先ほども言った通り、BGMの持つ力というのは非常に強大で、良くも悪くもお芝居の方向性を決定づけてしまうのです。
即興でシーンが展開することとなると、脚本芝居よりも音響・照明・舞台美術などの舞台を構成する要素が与える影響が非常に大きいのです。

そんな中で考えなしにBGMを入れたら、シーンが演者から離れてしまいます。
インプロにはあえてBGMをメインに置くものも存在しますが、それ以外は基本的に演者に寄り添う形でBGMを出した方が良いと私は思います。

即興音響をやるためには

さて口酸っぱく言いましたが、即興音響をやるには何が必要なのか。
それはもう感覚を得るしかないのかなと思います。

要は、「こういうシーンにはこういうBGMがあった方が良い」という経験をためまくるのです。センスを磨くのです。

具体的には、好きな映画やゲームのサウンドトラックを手に入れて、「あぁこの曲はあのシーンで流れてたなぁ」ということを回想しながら聞くと良いでしょう。
あと舞台の音響をやるのであれば、良い舞台作品を観るのが手っ取り早いです。いい舞台作品の音響を癖を見抜いて真似するのです。

…ふう、満足した(笑)
ちょっとした自己満足で書いてみました。悔いはない。

まぁ参考にしていただけたら幸いです。

それでは~。