「台本を読む会」について

                 

どうも、吉田です。
この度は「台本を読む会」にご参加いただきありがとうございます。

この会についての注意事項だったり、吉田の中にある台本を読む際の手がかりのようなものをここに記載しておきます。
長文になると思いますが、ご一読ください。

台本を 人と 読むこと

私は用事もないのに台本を読むということが凄く苦手でした。それに海外の戯曲のような非常に難解なものも苦手でした。

ですが、2020年にroom42さんが主催している演劇WS「Play Room」に参加してその苦手意識も薄れました。
そのWSにて、トム・ストッパード作「アルカディア」を約半年向き合い続けたことで、凄く自信が付いたのです。そして何より、人と台本を読むということに凄く支えられたこともとても大きかったです。

なので、人と台本を読むことを継続したいと思い、この会を開きました。用事もできますしね(笑)

この会のスタンス

  • 基本的にゆるっとやることをイメージしています。台本を読むことが苦手のままに終わらず、より深く作品を理解できるように、和気あいあいとやっていきたいと思います。
  • ゆるくやるとはいっても、会の前に対象の台本を読んでおいていただけると当日盛り上がりやすくなると思いますので、ご協力をお願いします。
    ひとまずさらっと、ざっと読むだけでも構いません。
  • 会は月に1~2回のペースで、Zoomを使って開催する予定です。
    たまに吉田がスケジュールを聞くLINEを流すので、その時には必ず期日までにご対応ください。
    予定が付かなかった場合は休んでも問題ありません。
  • ビデオ付き・音声付きの参加が難しい場合、耳だけの参加・チャットだけでの参加も可能です。無理せず参加して下さい

アーカイブはこちら

注意事項

  • この会は基本的に紹介制で運営していこうと思います。LINEに入っている人(以下メンバーと呼称)が招待したいということであれば、吉田までご連絡ください。
  • 台本によっては、同じ戯曲でも訳者が違ったりするだけで読み方が大きく変わったりするので、なるべく統一を図りたいと思います。ご協力をお願いします。
  • 会の最中に食べるのはご遠慮ください。咀嚼音がマイクに乗る可能性があります

今回の台本

チェーホフ「ワーニャ伯父さん」
今回使うのは神西清さんが訳したものです。


かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)
※青空文庫にもあります(こちらより)

次回はトム・ストッパード「ロックンロール」になりそうです。

次回の会

調整さんを作ったらLINEにURLを送りますのでお待ちください…。
なんとなく5月上旬になりそうです。

ZoomのURLはこちらから(毎回このURLでいきます)。

次回にやって欲しいこと

自分の担当キャラを分析してみる

ふゆのさん…アーストロフ
ちひろさん…セレブリャーコフ
ゆっこ…ソーニャ
かずゆき君…ワーニャ
あすか君…アーストロフ
りん…テレーギン
こばんさん…マリーナ
剛ちゃん…セレブリャーコフ
ゆうこ…エレーナ

※最低でもセリフの抽出を1と2はやってきてくれると助かります(話が広がりやすくなるので…)
※今回タイトル付けが非常にめんどくさいのですが、やってきてくれる方を募集します。

台本分析とは

今の私の、台本分析の知識を以下にまとめます。
もし台本を読んでも分からなかったり、どうやって読めばいいのか分からない場合は参考にしてください。

まず、私が台本に関して教わったのは、
演出家の黒澤世莉さん
イギリスの演出家・マイク・アルフレッズ氏の本を参考にしている忍翔(おしょう)
です。

マイク・アルフレッズの本はこちら(English Edition)

イギリスの演劇学校の台本分析クラスでは、まず最初に
台本分析は解釈ではない
ということを教わるそうです。

解釈は自分の想像や妄想や意見が入ってきます。分析は事実ベースでもっと淡白です。だからこそいつでも戻ってこれるスタート地点となります。
そして、戯曲分析の役割は「構造理解」と「キャラクターの情報収集」
だと言ってます。

その上で下記を読んでください。

(前提)分からなくても一先ず何度も読む

これは経験則ですが、一回ですべてを分かろうとすると必ずドツボにハマります。
3回読んでようやく内容が分かってきたり、6回読んで初めて分かった事があるなんてこともザラです。

戯曲は1回だけ読んでも分からないものだと思ってください。何度も読まないと絶対に分かりません。

なので1回読んでも全然分からないとなっても、それは恥ではないので、気にせず何度も読み続けちゃいましょう。途中分からないことがあっても、その答えは読んでる先にあったりするので、とにかく繰り返し読むことが大事です。

(前提)事実〈Fact〉と詳細〈Detail〉

台本には、書いてある事実(Fact)とそれに基づいた詳細(Detail)の二つがあります。

事実(Fact)とは台本に明言されていることです。
「かもめ」で言うと、
・トレープレフは大学を中退している
・ソーリンはアルカージナの兄
と言う感じです。それを否定している記載が台本にない限り、それを否定することは基本的にできません。

詳細(Detail)とは事実から基づいた想像による分析です。
恐らく台本分析において一番大切なところなんじゃないかなと思います。
基本的に事実を否定する詳細はNGです。例えば、「トレープレフは大学を中退していない」という風に読んでしまうと事実を否定してしまうので、基本的にNGです。あくまでfactに基づいて考えるようにしてください。

あと、詳細は解釈になりやすいところでもあるので、事実と詳細は自分の中で切り分けた方が良いでしょう。読んでいくうち、稽古が進んでいくうちに詳細は変わる可能性があります。

(構造)まずはあらすじを作ってみる

Play Roomでは、「作品の全体の構造を理解してから細部を読む」ことを教えられました。
まずは全体のあらすじを作ってみましょう。因みにPlay Roomでは140文字で作れと言われてました。

それが終わったら、各章・各幕のそれぞれのあらすじを作ってみましょう(どうせなら140文字で)。
これをするだけで作品の理解が深まりますし、更に疑問点が凄く増えます。

(構造)幕→セクション→ユニット→アクションと分ける

マイクの考えです。

まずは戯曲を幕で分けてみましょう。既に分かれているのであればそれで大丈夫です。
その幕ごとにタイトルを付けましょう。
かっこいいタイトルをつける必要はないです。その幕で何が起きたかをはっきりさせることが大事。ポイントは「何が全体に影響を与えているか」です。

例)かもめ
①トレープレフの上演
②暑い日の昼のアルカージナとトリゴーリンひと時(二幕は特に大きな出来事が起きていないが、最も大きく影響を与えていることを選んだ)
③トレープレフの自殺未遂で、アルカージナとトリゴーリンがモスクワに早く帰る
④ソーリンの病気/ニーナが帰る(四幕は全体の影響に与えているものが大きく分けて二つある)

次に幕を更にセクション分けていきましょう。
大きなアクションの塊で分けていきます。
①準備→上演→失敗して感想を言い合う

次にセクションを更にユニットで分けていきます
更に細かく、変化が起きたポイントで分けます。各キャラクターがどのように行動しているのかを描写することがポイントです(その方が演技に役立つ)

例)かもめ1幕
1 メドヴェーチェンコがマーシャを口説く。マーシャはメドを無視する。
2 トレープレフが上演の準備を見に来る。ソーリンは田舎に対する不満を言う。
3 トレープレフが母についての愚痴を言い、ソーリンはそれを聞いてあげる
4 トレープレフが演劇に対する理想を語り、ソーリンはそれを聞いてあげる
………

次にアクション分けをしていきましょう。句読点(。)ごとにセリフを分け、それぞれどんな行動をしているかを書き出します。
「その行動リストを読めば、シーンの流れが再現出来る」と言うものを目指してください。
マイクはテキストによるシーンワークの前に、行動だけを用いた即興をやります。そのために行動だけを抜き出すことが必要なのです。

※アクション分けの注意点
あくまで事実ベースで考えてください。
例えば、単に「ありがとう」と言うセリフだったら「お礼を言う」で良いです。解釈して「詰め寄っている」とか「尊敬してる」というものを当てはめないようにしてください。
ただ、相手の反応や関係性や状況により「明らかに」それがわかる場合は可能です。
とにかく、台本に照らし合わせて説明出来るかどうかが重要です。
※もちろん稽古を進めていったり、演出の意向によってそこは変わってくるものですが、まずは最もシンプルで良いです。

(キャラクター)キャラクターのセリフを4つの観点で抽出する

どこかの海外の演出家が台本分析する際には以下を書き出すと良いと言っています。

  • 具体的な事実
  • 自分が自分自身について言っていること
  • 他人が自分に言っていること
  • 自分が他人(物事)に言っていること

これら4点をそれぞれ台本から抽出すると見えてくるとのこと。

Super ObjectとThrough Lineを考える

Super Object
…そのキャラクターが人生を賭して達成したいと思う目的
※目的なので、「~したい」などの願望系で終わる
※キャラクターによっては複数あり、かつそれが相反することだったりする

Through Line
…劇中でSuper Objectを達成するために、行っている行動
※行動なので動詞で終わる