演劇

【モノスポ終演】自分を信じて「跳ね返り」を待つ

     

どうも、りんこと吉田光です。


12月15日(日)を持ちまして、「モノローグEXPO」が無事終演となりました。
ご来場いただいた方全てに御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

終えてみて

なんだかんだ終わってから三日とか経ってるんですね。
終わった後、ちょっとデザインのポートフォリオを作らなきゃでちょっとバタバタしてまして、なかなか落ち着いて振り返る時間が作れませんでした。

さて今回、実は自分なりにチャレンジをした回でした。

まぁいじめ云々については前記事で散々書いたので、それ以外のことについて書こうかと思います。

ただこれについての話は…いわゆる役者をやってる人にはわかるけど、やってない人には伝わりづらい内容かもしれません。
なるべく芝居をやってない人でも伝わるように書くつもりでいきますので、お付き合いください。

「心の筋トレ」をやめる

リラックスとは「緊張」と「解放」

巷では「リラックス」という言葉が知れ渡っています。
やたらと「リラックスする」という言葉が様々なところで使われていますね。私のHSPサイト「HSP Diary」でもリラックスって言葉を…多分どこかで使っています。
「リラックス」とは何でしょうか。何となく共通意識としてあるのが「体の力を抜くこと」だと思います。

「体」だけでなく「心」もリラックスする、「力を抜く」という状態があるはずです。

「心の力を抜く」という言葉って、意外と知れ渡ってないですよね。でもこれって非常に大切な言葉なんじゃないかなと最近強く思います。

「脱・筋トレ思考」を読んで


今、元ラグビー日本代表選手の平尾剛氏が書いた本「脱・筋トレ思考」を読んでいます。

勝利・金・ランキング上位といった、目に見えてわかりやすい目的を掲げ、それに向けてシンプルな方法で解決を図る考え方を、本書では「筋トレ主義」と呼ぶ
出典:平尾剛著「脱・筋トレ思考」(2019年・ミシマ社)

初めにこう書かれていたこの本は、ただ闇雲に筋トレをする危険性と、真に大切なのは心技体を整えて「コツ」と呼ばれる感覚世界に入門することであると書かれています。まだ全部は読んでいないのですが、これが非常に面白い。

体を鍛えすぎると筋肉が増える。そうすると必然的に体重が増えるから、俊敏性が落ちる。
一時期その危険性を、イチロー選手も説いてました。
「過剰に筋トレをするとスウィングスピードが落ちる」と言って途中から執拗に筋トレをするのを辞めたそうです。

過剰な「心の筋トレ」

何の話をしてきたんじゃいと思われるかもしれませんが、役者というのももしかすると、この罠にはまっているのではないのかなと思ってきたのです。

役者というのは本当に危険な生き方です。一歩間違えたら死にます。
それは役を自分に近づけようとするあまりに精神を病んでしまったり、自殺をしてしまったり、人を殺してしまったりするなんて話も出てきます。

現実にはない状況を信じ込ませるために、役者はありとあらゆる方法で自分を創り上げます。
ト書きに書いてある行動、「泣く」とか「笑う」とかをなるべく自然に発露するために、ありとあらゆる想像を駆使して自分をその状況に置かせるのです。

人を殺してないけど人を殺してしまったり、
母親は死んでないのに目の前で母親が死んだり、
自分が死んでしまったり

なんて、もう想像するしかないじゃんという状況に身を置くのです。
というわけで、役者は基本的に自分を追い込みます。
まじめな役者ほど「まだ、もっと悲しいはずだ」とか「キャラの気持ちが出てない!」という風に自分を追い詰め、「火事場の馬鹿力」のようなものをひねり出そうとします。まさに私がそうでした。

体をいじめているわけではないけども、それに匹敵するぐらいに辛い。
まさに「心の筋トレ」をしている。

ただね、人の気持ちって勝手に湧き上がるものなんですよ。
ガチガチに固まった心には、そんな繊細な気持ち・心の変化というものは訪れない。

リラックスとは緊張を知ること

私が滅茶苦茶お世話になってる、元宝塚の演技指導者であり「リンクレイター・ヴォイスワーク」という声について教えていらっしゃる、登坂倫子さんはこう言っています。
※「リンクレイター・ヴォイスワーク」は発声方法ではなく、声(体)を原始に帰すボディワークです。

「リラックスした状態を知るには緊張した状態を知ることが大事。
緊張した状態から緩むと『これがリラックスしている状態なんだな』と体が学習します」

リンクレイター・ヴォイスワークには「緩ませるためにあえてパーツごとに緊張を加えて、一気に緊張を解く」というワークが存在します。

腕をまっすぐに肩の高さまで上げて、そこから力を急に抜くと、太ももにぶつかると思います。
その時、太ももの上で手がバウンドするはずです。「跳ね返り」がある。
倫子さんはこの「跳ね返り」の力を用いることの重要性を何度も説いてくれました。
※「跳ね返り」って言葉で表現してなかったんだよな…なんて言ってたっけか…。

人間は意識下にあることよりも、無意識下にあることの方が沢山ある。
意識下にあることは氷山の一角に過ぎない。

そんなことも教えてくれました。

さて、この「脱筋トレ」と「緊張を解く」という二つの要素が組み合わさり、私はこう考えたのです。

心の筋トレ、やめてみるか。
無意識下の「跳ね返り」を信じてみよう

無意識下に任せる=自分の感覚を信じる

これを決めたのが15日の本番前でした。
なので本番前に台本を読んだり、役について思いにふけたりするのはなるべく辞めました。

超怖かったです。
無意識下に頼ろうとは思っていても、「本当にこれでできるのか」という疑念が常にまとわりついていきました。
そんな中でも「脱・筋トレ思考」を読んだり、共演者と全く関係のない話をしたりして、なるべく今までの「心の筋トレ思考」から離そうと努めました。

無意識下に眠っている「自分の感覚」を舞台上で出せるように、自分の心に負担をかけないようにしました。

その時気づいたのです。
あぁ、俺は自分の感覚を信じてないんだな、と。

明確に自分の感覚を信じられなくなった出来事が私にはあります。
それを乗り越えなくては、先へ進めない。そう確信しました。

だから、自分の感覚を信じました。
無意識にやれるように。「跳ね返り」が起きると信じて。

「初日より良かった」と言われた

結果どうなったかというと、「初日より良かった」と言われました。

多くの方から、私の知らない人からも「すごくよかったです」と言っていただけました。
ものすごくうれしかったです。

一度自分の感覚を見失ってから初めての成功体験だったのではと思います。

まぁ長々と書きましたが、要はモノスポやって自分の壁を一つ乗り越えたということです。

最後に

最後に、この企画のメインメンバーである四人の方全員に感謝を述べたいと思います。

しょんさん(忍翔)、最初に「悪魔」をやるとき初めに見てくれたのはあなたで、3年ぶりに見てもらえたのは本当にうれしかったです。

ひろきゅん、あなたが俺を推しくれなかったらこの12月のモノスポに出ることはできず、この学びを得ることができませんでした

悠さん、あなたが書いてくれた本に救われもして多くのことを学ぶことができました。

レゴさん、あなたのおかげで今まで蓋をしていた思い出と直面する勇気をくれました。

皆さんなくして、今の吉田光はいません。
心から感謝します。

それでは、今後の吉田光をどうぞよろしく!