吉田の哲学

本当に演劇は面白い率が低いのか?私見をぶつけます

     

どうも、りんこと吉田光です。

さて今日は急遽ブログを書いてます。

先ほど、Twitterにてこんなツイートを目撃しました。

ぶっちゃけこれに関してはあんまり否定できないなぁと思ってます。
というわけで、引用リツイさせていただきました。

そしたら

やっぱり一般のお客さんからしたら、この認識は間違ってないんですかね…?(あくまで個人の感想??)

という返信をいただきましたので、自分なりの私見をしたいと思います。

本記事の前提として

なんだかんだ私、演劇を高校演劇を含めると13年ほどやっておりまして、なんだかんだ当事者なのでちょっと偏っています。
また「1日2つとか観劇余裕だぜ!」という観劇好きではありません。むしろ苦手な方でして、業界にすごく詳しいというわけではありません。
※最近は「なるべく観よう!」と思って頑張ってます。

そんな、一応当事者である私、吉田光が、一応13年やってきて感じたこと、狭い了見での私見をぶつけてみます。

なお、本記事では

<一般の人>:演劇が身近ではなく、普段観劇しない人
<観劇好き>:舞台に立ってないが舞台の観劇が好きな人
<当事者>:演者・スタッフとして舞台に関わってる人

という定義づけをしていきたいと思います。

演劇は面白い率が低い?

まずなっつん氏が一番最初にぶつけたこの疑問ですが、私からの結論は確かに低いかもしれないということです。
なっつん氏が言ってた「100本見て面白いのが20本もない」という割合は…ちょっと分かるかも

というのも舞台というのは本当に千差万別で、様々なジャンル・演劇団体が存在します。
ジャンルも本当に数が多く、正直全部制覇しようとすると時間とお金と労力がすごいことになります。そこまでできる人は最早もう<一般の人>ではなく<観劇好き>でしょう。

私は<観劇好き>ではなく<当事者>です。
つまりやるのは好きだけど観るのは苦手、という人です。そして「20本以下/100本」というこの割合は、私は否定しきれない。あながち間違ってないかも。

そもそも、舞台演劇作品というのは何かしらに尖っているのが非常に多いです。平たく言うと作家性が強い。
とにかく抽象的だったり、やけに暴力的だったり、すげぇエネルギーぶつけてみたりと、「舞台演劇」というメディアを通していろんな団体が表現のオリジナリティを発揮しています。

そして「尖っている」ものというのは選り好みが非常に激しいジャンルにもなり得ます。
100本の舞台演劇作品の中で自分が本当に面白い作品をあげたら確かに20はないかなと思います。

「まぁまぁ楽しめた」「まぁ金払った分は楽しめた」という作品を含めたら、半分とか、かなぁ…。
因みに私は最近、劇団や演出家や演者の経歴や口コミとか気にして観るようにしているので、明らかなハズレを引くことはかなり少なくなりました。一応。まぁでもこれ、<当事者>だから口コミ仕入れやすいってのもあるんですけどね…。<一般の人>だとどうすりゃいいのって話だし…。

だらだらと話しましたが、<当事者>だろうが<観劇好き>だろうが<一般の人>だろうが、面白い舞台作品や劇団に出会うのは「運」みたいなものが存在すると思います。
ですが間違いなく言えるのは、面白い演劇作品は間違いなく存在します

なので「私が面白いと思う舞台演劇は無い」と結論付けるのは待ってほしいんです。

ただ、こう思いでしょう。「じゃあいつその舞台に出会えるの?」「どうやったらそれに出会えるの?」

そりゃ手早く楽に見つけたいですよね。でも演劇って本当にここら辺が難しいんですよ…。

演劇の閉鎖性と尖った作家性

なっつん氏が言っているように、映画は口コミという文化が存在しており、割と信用できます。私も映画はFilmarks見てから観てます。
そして映画はプロモーションもしやすいです。出来上がった映像をコマ切りにして動画にするってのが正攻法ですよね。間違いないと思います。

でも舞台ってそれが難しいんですよ…。

仮にPV撮影用の通しをやるとしても、まず劇場とスタッフを抑えて、当然演者も全員揃えて、事前に照明と音響をセットする。これだけで1日2日かかります。
そして通しをやる。通しじゃなくてもシーンごとでやってみて撮影してみる、とかでなんとか時間をかけないようにする。
最後にバラし。舞台を使う前の状況に戻すので半日かかる。搬入搬出のための人員も確保する。などなど。ただでさえ凄いコストが更にすごくなります。

また舞台というのは本番直前で演出が大きく変わったり、なんならセリフが変わったり、なんなら台本が本番1日前にようやく完成したりします。すごいところだと当日に台本あがったなんてこともあります。

なので舞台の宣伝は「とりあえず来てね(ハート)」という乱暴なやり方になってしまいがちです。なんせ宣伝するコンテンツの幅が圧倒的に狭いので、「とりあえず来てくれ」という感じにどうしてもなってしまいます。
まぁ、それを差し引いても演劇人の宣伝というのはヘタな人が多いですけどね(ぶっちゃけ私も人のことは言えません)。

そういう宣伝で来てくれる人となると、どうしてもその舞台の<当事者>を知っている人が多くなってしまいます。そして<当事者>の知り合いは<当事者>であることが多い。そしてそこに<観劇好き>が入ってきます。

そんなわけで、現在の舞台演劇という業界は<当事者>と<観劇好き>で回っている狭い業界になってしまっています。

「え、回ってるの?ちゃんと?」
まぁ落ち着けよ。そう言ってやるなよ。

これを覆そうと色々な業界人や実業家だったりが手を上げて尽力していますが中々うまく言ってません。これの細かい理由を挙げるときりがないんですよね…。

ただこの「閉鎖性」に嫌気がさしている<当事者>や<観劇好き>の方もたくさんいます。私もその一人です。
正直、私はこの手の話で「<一般の人>がレベルが低いだけ」ということを抜かす人は好きになりません。

ですけど、どうしたら<一般の人>と<観劇好き>のギャップを埋めたもんかと、悩んでます。どう考えても<一般の人>を舞台演劇に巻き込むにはあまりにも閉鎖性がキツすぎる

どうしましょうねコレ。

<一般の人>が受け入れるのはかなり難しい現状

私が思うに、<観劇好き>な人は「それが舞台である」という時点で価値を見出しているんだと思います。
勿論、作品が面白いかどうかをまったく気にしないというわけではないと思いますが、舞台を楽しむポイントを彼らなりに色々と持っていて、それを体験しに行っているんだと思います。

シナリオ以外にも役者の演技や動き、舞台装置と照明の綺麗さ、などなど。生で演じるからこそ、生身の役者の体から発するエネルギーを直に感じたいと思うのは<観劇好き>の特徴だと思います。

そして観劇にまつわる言葉で、
「つまらない舞台は映画の500倍つまらないが、面白い舞台は映画の500倍面白い」というものがあります(これ誰かから聞いた言葉で誰が言ったのか知らないんですけど…)。
これは本当に良くわかります。マジでそうだと思う。
かつて自分が見た「本当に面白い舞台」をまた観たい・体験したいがために草の根分けても探し出す、という発想はあると思います。

こういう人は数ある尖った演劇作品の中で、「本当に自分に刺さった作品」というのを見つけた人がこうなるんだと思います。まぁ私も恐らくタイプはこっちですね。
100本中、本当に厳選された5本ぐらいの名作を観るがために、宝くじを買い続けている人。これも<観劇好き>の特徴の一つだと思います。

例えば「駄作を観るような時間の無駄はしたくない」という人だとすれば、申し訳ない。残酷な物言いですが舞台の観劇は向かないかもしれない

どうしても映画と同じようにはいきづらいです。映画は安く観られるので、失敗しても「まぁいいか」で済みますが、演劇だと観劇料がどうしても高いのでどうしても二の足を踏んでしまう。
正直、<当事者>の私ですら踏みますよ。高いですし。

そんなこんなで全ての人が舞台を好きになれるとまでは言いづらいのが、この日本の舞台演劇の現状だと思ってます。
作家性が強すぎて選り好みが激しくて、口コミも少なくて、そもそもプロアマの境目が曖昧で、観劇料が高くて、閉鎖性がきつくて、宣伝が下手。
<一般の人>が受け入れられるには、これらの特徴があまりにも足を引っ張りすぎている。

そして<当事者>と<一般の人>の認識の差に気づいてない<当事者>があまりにも多くて、更にこの現状に拍車をかけています。本当に尖ってる人が多いのです…。

いやこれを「仕方ない」の一言で済ませたくないんですよ、<当事者>の一人としてはね?
でも本当に悩んでるんです。どうしようかと。

否定できないけど結論は待ってほしい

だから、なっつん氏が言っていることを無下に否定することは私にはできませんし、「舞台って面白くなくない?」という言葉にどう返せばいいのかも分かりません。

「いや、舞台は面白い!とりあえず俺の出る作品を観てほしい!」
って言える人が宣伝上手なのかな…。こんなこと言えないから人呼べないのかな…。まーた頭抱えちゃうわ。でも観に来てほしいんだよなぁ~!

ただ、前述したとおりですが、これらはあくまで私見です。私から見ている現実と私の中の理解の話です。

本当に上手に、<一般の人>に舞台の魅力を伝えることができる人が現れたら、この状況が変わるかもしれない。
私が見ている見方じゃない見方を提示できる人がいるかもしれない。

だから絶望するには、まだ早い。結論づけるのは、早い。

私はちょっと提示できませんが、一部の<観劇好き>の中では<一般の人>にもお勧めできる団体や作品を教えられる人がいます。
私のおすすめの<観劇好き>はどんぐりマミーさんです。

一応このブログでも、私のおすすめの演劇人を紹介しようと思います。なので、ちょっと結論は待ってほしい…!お願いします。

というわけで、私なりの私見でした。急遽書いたので荒い文章になってるかもしれませんが、ご参考になれば幸いです。