演劇

シアタースコラ日誌 -その5(ディバイジング①:俳優が作品を創作する)-

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どうも、りんこと吉田光です。

すっかり期間が空いてしまいましたが、ちゃんと行ってましたよ?スコラに。
ちょっとバタバタしてまして…言い訳ですね、すみません。

ということで、今回は長い期間超頭を悩ませたディバイジングについて。記事が遅れた理由の半分はこいつです

ディバイジングとは

“Devise”(工夫する)の動名詞、”Devising”です。
すっごく簡単に言うと俳優が作品を創作することを言います。

そして今回のシアタースコラで唯一の、作品創作を目的としたクラスになります。あ、分からない、もしかしたら来月6月(最終月)で、なんか作品創りをするかもしれんけど…でも多分このディバイジングだけだと思う。今回のスコラの中で、これとシアターカフェだけ実践なので、他のクラスと比べるとカラーが異なります。

スコラのディバイジングのクラスでは、受講生で必ず一つの作品を創作します。
その際、作品のテーマやルールを事前に提示されます。

今期のディバイジングクラスは全部で3回ありました。それぞれだされたテーマは「ある絵画」「ある日本詩」「ある絵本」でした。
共通していたルールは「照明・音響・セリフが禁止」です。なので、必然的に体で表現する必要があります。てか、スコラではセリフをあんまり扱いません。身体の表現で作品を創ります。

4月からスタートした今期のシアタースコラの3ヶ月クラス、来月6月でラストとなりますが、今の今までセリフを扱っていません。おそらくですが来月も扱わないでしょう。
セリフを言う前に大切なことが山ほどあることを体で叩き込まれております。

ピラミッド構造を倒す

最初のクラスの時、講師のたつやさんから組織の構造について説明されました。

大抵の組織構造は何で表されるか。そう、ピラミッドです。つまり三角形ですね。

なんか画像作るのもめんどくさいので文字でやります。三角形はこんな感じですね。よく見るやつです。

2008年に公開された、東京工業大学の広報誌である「TechTech」にて、同大学の尾中晋教授が正三角形についての説明が記載されています。

正三角形は、このように安定しています。だから、形を保つのに余分なエネルギーを使わずに済みます。自然界には、正三角形を基本とした形のものが多いです。物質をつくる原子も、正三角形に並びたがりますし、身近なところにもこの形はたくさん隠れているんですよ。
東京工業大学「TechTech 2008年春」より引用

ということで、図形の中で一番安定している形が正三角形ということです。
つまりピラミッド構造とは一番頑強な構造であるといえるでしょう。

因みに一定以上の規模の会社でも組織構造を表した組織図が存在しますが、それも結果的に三角形になっていることが多いです。
王政だろうが資本主義だろうが、王を頂点とした構図、資本家を頂点とした構図はどれもあんまり変わっていないですね、ぶっちゃけ。それだけこのピラミッド構造が組織運営に関して一番理にかなっているということでしょう。

たつや「これを倒します。上下を無くします」

まずこれが最初に説明されます。
つまりディバイジングはかなり不安定な状態でプロジェクトが進むということになりますね。

俳優が創作する

ピラミッド構造は演劇の現場でも同じことが言えますね。
脚本を書いている脚本家、全体をデザインする演出家が上で俳優はその下になりがちです。どちらかというと「俳優」は各々の創造性を発揮するアーティストというより、与えられた仕事を忠実にこなす技術者としての側面が強いのではないでしょうか?

トップダウンの構造だと、上に立つものが下にいるものにタスク・仕事を割り振ります。基本的に下にいる人はそのタスク・仕事をこなすことを求められます。ただ、上から割り振られたタスクをこなすだけでは創造性を発揮しにくいです。勿論創造性がない、というわけではありません。
ただ、作品を創作するという過程でトップダウン構造になってしまった場合、下にいる人はその過程に関わることが少なくなります。

逆に言うと、結果的に作品創作の過程の大部分を脚本家・演出家に任せてしまっているのではないでしょうか?
今まで下にいることが多かった俳優は、「作品を創る」という経験が薄いです。思い当たる節はありませんか?

ディバイジングは、脚本家や演出家に任せがちな作品創作を俳優が行うのです。今まで当たり前にされていた「役割を与える」「責任をだれかに集約させる」という、ピラミッド構造を生み出してきた組織運営をせずに、各々が責任を分散させて創作します。
つまり俳優が各々の芸術的感性を発揮できるのです。逆に言うと発揮しなくてはなりません。発揮しないと下になります。上下が生まれます。

シアタースコラでは新しい舞台表現をクリエイトする人材を育成します。
既存のフォームやスタイル、過去の「こうあるべき」を押し付ける教育ではなく、「こうであった」ことから学び、確かな実践とトライ&エラーを通してあなたの「こういうものをつくりたい」を実現できるようにします。

過去を振り返り、普遍性を見出して利用することは必要です。

新しい技術や他分野からのアイディアを取り入れ、現代で求められるアートとしての新しい舞台芸術の創出を目指します。

シアタースコラのWebサイトより引用

口で言うのは簡単で、言っていることはとても綺麗なことですけど、あり得ないほど大変ですからご注意を。

これを体験した私の感想はというと、

黒船来航・明治維新・文明開化

なんだろう、異文化の暴力でした。本当にやったことがないこと、意識をし続けないとふとしたことで結果的に上下の関係になってしまうことにものすごく戸惑いを覚えました。

ただ、これからの日本の演劇に間違いなく必要な考え方です。

これは確信しました。

というわけで、またディバイジングについてはいずれ述べようと思います。ついさっきまで悩まされましたからね。自分の性格というか、人間性というのが嫌というほど表に出て、丸々自分に返ってきます。

ではまた。

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