演劇

シアタースコラ日誌 -その13(ボイスワーク:自分の声の再発見)-

     

どうも、りんこと吉田光です。

今回もシアタースコラ日誌です。

因みに本日、最後のシアターカフェが終わりまして、明日が最後のクラスとなります。結構万感の思いがあるのですが、まぁそれは明日綴ります。

ボイスといえば?

今回はボイスワークについてです。
実は私、このスコラの前に、というか私は7,8年前に登坂倫子氏が講師をしているリンクレイター・ボイスワークを受講していたことがあるので、ある程度把握しています。
因みに私は倫子さんのボイスワークは半年以上に渡る長期クラスになってまして、2回受けたことがあるのですが、受けた当時若くて色々と不安定だった私は2回とも最後まで受講できていません。今思えば悔しい。

倫子さんのHPによる、リンクレイター・ボイスワークの紹介はこちら

俳優の訓練でボイスといえば、何を先に想像するでしょうか。日本人では発声練習・ボイストレーニング(ボイトレ)ではないでしょうか?よく言いますよね、腹式呼吸って。カラオケが流行って、この大動画時代では様々なボイトレの動画やコンテンツがあふれています。私もたまに拝見します。

ですが、このボイスワークは発声・ボイトレとは異なります。
さてここから発声・ボイトレとボイスワークの比較をしますが、どっちがいいとか悪いとかじゃないということです。あくまでそれぞれ特色があるよというだけで。

発声→大きな声を出せるようになることが目的。腹式呼吸がキーワード
ボイストレーニング→講師によってその目的は異なるが、超ざっくりで大別すると「音域を広げる」「大きな声を出すこと」が目的。どちらかというと歌で使われる

という感じです。この2つに共通しているのは「筋トレ」「声を出す」ことです。
発声はとにかく声を出します。「腹から声出せ」とよく言われますね。因みに私は高校時代に割と真面目に発声練習をやっていたタチでした。

ボイトレも筋トレをします。声を筋肉で支える、みたいな感覚になりますかね。歌で自分の出したい音域に広げたいとかになると、割と行われたりします。割と本当に声が安定するので、興味のある方は是非。ボイトレに適した筋トレを行ったりします。

そしてひたすら声を出します。ピアノを使って「ラララララララララ~♪」ってやりますよね。いやこれ歌においては結構大事なんですよ。歌が上手くなりたかったらミュージシャンのボイトレを受けるのは割とありです。また受けてぇなぁ…いまキツイけど。

ボイスワークとは

さて、スコラのボイスワーククラスはボイス講師の大場浩子氏から教えていただきました。つまり外部の方ですね。彼女はRoyal Central School of Speech & Drama MA Voice Studiesを修了しています。

ボイスワークはボイトレや発声とは全く異なるところが2つありまして、筋トレをしないことと声を出すのが大分後ということですね。
前述したリンクレイター・ボイスワークでは、声を出すのに2か月かかりました(当時は週一回のWSだったので9回目ぐらいから声を出しましたね)。
声を出すまで何をするかというと、ひたすら体と向き合ってました。

私の考えですが、ボイスワークは自分の声の再発見を目的としています。いささか抽象的ですが。
ボイスは自分の体から発せられるもの。どういうプロセスで声が成すのかを、体のアカデミックな知識とイマジネーションを使ったワークで探求します。

自分の体がどのようになっているのか、それこそ胃カメラとか医療機器を用いないとちゃんとは見れません。
なので、ボイスワークではイマジネーションの力を用いて、自分の体をスキャニングしたり、自分の体がどのように変化し、どのように作用しているのかを体験することで、体に本来備わっていたスペースやバイブレーションを発見していきます。

赤ん坊のころに無意識にやっていた、原始の体に回帰することで、大人になって失ってしまった体と再び向き合うことで、自分の本来の声を取り戻していく旅が、クリスティン・リンクレイターが提唱したボイスワークです。

あーやっばい、大場さんっていうかリンクレイターだわコレ

言ってることが完全に倫子さんですわ。すげぇ混戦する。

ま、まぁ、大場さんのボイスワークでもリンクレイターのエッセンスが入っていたから大丈夫のはず!大場さんごめんなさい!!

そんなこんなで、私はかつて受けていたボイスワークの追体験ができた気がして非常に満足した時間を過ごしました。

結局何やったのよ

結局のところどうだって話ですよね(笑)

とにかく声を出す発声や、音域を広げたりパフォーマンスの声を鍛えるボイトレとは違い、ボイスワークは筋トレをしません。

独特のワークなので具体的にこうやると言葉で説明するのは無理なんですが、まず姿勢にこだわります。とにかく姿勢です。どうやって立っているのか。それがボイスにとってものすごく重要です。

アレクサンダーテクニークでも述べたように、自分の姿勢、どのように立っていてどこに力が入っているのかで、自分の声と体は大きく変わります。悪い状態で声を出し続けると、喉にダメージを負うことになり、きちんと休ませないとダメージが蓄積してしまい使えなくなるなんてことも起きます(水分補給と睡眠が大事)。

なので正しい姿勢、というのはちょっと嫌だな…。
リンクレイターでよく言われていたのは、筋肉ではなく骨格で立つということでした。因みに倫子さんのスタジオには骨格標本が置いてあります。これが本当に良かったのよ。

筋肉で立とうとすると、当然力が入っている箇所は緊張します。
声とは体のリラックスした箇所が、声帯から生まれるバイブレーションが共鳴して増幅することで生まれる音です。なので声を発するときの姿勢というのはものすごく重要です。絶対におろそかにしてはならないポイントです。
骨で立つを実感するためにロールダウンとロールアップを繰り返します。その際にパートナーに仙骨を触ってもらったりして、自分の椎骨を実感しながら、とかいろんなThoughtを取り入れながらワークを行います。

リンクレイターで”Thought”は耳にタコができるほどに聞く言葉です。日本語に訳すのが難しい…。倫子さん、本当にひたすら「Clear Image, Clear Thought!!」って言ってたからなぁ。

いやだから大場さんの話をせいっちゅうにん

大場さんのクラスでは、自分の呼吸がどこに入っているのか、どこまで深く入れるのかを実践しました。
私は骨盤底筋を緩めた先にある尾てい骨付近に、息が入るポケットを見つけました。いやこれがマジで感動ものなのよ。「こんなところにあった!」みたいな。
自分の体の発見というのは、何年経っても大きな喜びと共に訪れます。

そんなこんなで

テンション上がりすぎましたねぇ。
ここまで自然と書けるぐらいには自分の血肉になってるんだな。なんか嬉しい。

因みに私、よく「声が良い」と褒められることがありますが、おそらくこのボイスワークのおかげです。
もし今までに自分がパフォーマンスで使う声に疑問を抱いてモヤモヤしていたり、もっと深いところまでブラッシュアップしたいと思っていたり、自分の声にコンプレックスを抱いていたりしてたら!是非ともボイスワークを受けてみてください。本気でおススメです。

実は講師の大場さん、スコラの稽古場であるi Rego Garageにて連続ボイスワークを行っています!こちらから詳細が見れますので是非ともご覧ください!
あと倫子さんのボイスワークもお勧めです。ただ、倫子さんは長期クラスに凄くこだわっているので、気軽に参加するという感じではありませんのでご注意を。多分無料じゃないけど見学もできたような気が…。

まぁそんな感じで。多分今までのスコラ日誌で最長ですわ、これ。